Back Yard One Denim

一本のデニムパンツが生まれるための背景。

セルヴィッジデニムに3年

Three Years with Selvedge Denim.

 これまでORDINARY FITSが使用してきたセルヴィッジデニムは広島県福山市の機屋さん*1で生産されています。主に1970~80年代製の国産の旧式自動織機が用いられ、幅約80cmのセルヴィッジデニムを1時間に約5m織ることができます。新型の織機に比べて数分の1のスピードですが、糸に緊張を与えずに織ることができ、デニム地に奥ゆかしい表情が生まれます。素材の旨みでもあるその表情が非常に重要です。

 しかし極めて現存数が少ない旧式織機で織られるセルヴィッジデニムは貴重品でもあり、世界中から受注が集中することもあって、生地屋さん*2から最低発注単位の120反(6,000m)を仕入れるためには1年半~3年先まで待たねばならない状況です。デニムパンツを作るセルヴィッジデニムは仕入れるだけでも大変な時間がかかるのです。また120反のデニム地は約2,500本のデニムパンツが生産される量です。それを1反50mずつに分けて扱います。

誇りたい児島の職人たち

The Skilled Artisans of Kojima.

 さて、待ち侘びたセルヴィッジデニムが届くと、いよいよ生産は児島に舞台を移します。まずは裁断屋さん*3で生地の裁断です。無駄が出ないように生地の上に型紙を隙間なく配置して、職人が電動カッターを操り手動でカットしていきます。いかに効率よくすべての型紙を配置するか、重なるデニム地をずれないようミリ単位で裁断するかが、職人の腕にかかっています。

 やがてパーツとなったデニム地はORDINARY FITSのマザーファクトリーであるYARD ATELIER(ヤードアトリエ)*4に持ち込まれ、自社スタッフが一枚一枚丁寧に縫い合わせ、組み立てていきます。

児島のものづくり文化

Kojima's Tradition of Craftsmanship.

 衣類の中でもかなり厚手となるデニム地を縫うためには、何台もの専用ミシンと高度な技術が必要ですが、江戸時代に木綿産業が起こり、明治・大正期に足袋や組紐などの和装製品を製造し、昭和期に学生服の一大生産地となっていった、児島固有のものづくりの文化的基盤が、デニムという特殊な製造においても質の高い仕事を可能にしています。

 縫製が済むと、ワンウォッシュやユーズド加工を行う加工屋さん*5の出番です。私たちの児島でのデニムパンツの生産は、約8社~10社の専門業社による分業制で作り上げていくのですが、どの現場にも必ず職人が居り、この加工業においても、時代の変化に応じた技術の継承と進化が脈々と胎動し続けています。

専門業者間の質の高い連動性

Seamless coordination among specialized manufacturers.

 加工と前後して連動するのが付属屋さん*6と特殊屋さん*7、そしてネーム屋さん*8です。付属屋さんはボタンやファスナーなどの付属品を扱う業者さんで、そこから仕入れた付属品を縫製後のデニムパンツに取り付けてくれるのが特殊屋さん。縫製ミシンよりもさらに複雑な機構をした特殊な機械を操る職人さんです。一方でネーム屋さんは紙パッチや品質表示などを専門に作る業者です。

 それらがすべて整い、やっと最後に仕上げ屋さん*9でアイロンや下げ札の取り付けなどが行われ、梱包されて納品となります。

守るべき質と環境

Committed to Quality and the Environment.

 このようにして、たくさんの場所と時間を行き来しながら、職人たちの集中した仕事をつなぎ合わせて1本のデニムパンツができあがります。私たちにとってその一連の関係性は製品に現れる「質」のすべてであり、守るべき児島のものづくり「環境」でもあります。

 質を落とすことなく、環境を守り続けるため、私たちはこれからも、デニムプロダクツを含めた本物のものづくりにこだわっていきたいと考えています。どうかご協力いただければ幸いです。

ORDINARY FITSのデニムパンツ1本に必要な数値

すべて概算値

  • 生地:幅80cm × 長さ2m30cm
  • 時間:2年(デニム)+2ヶ月(裁断から仕上げ)
  • 企業:10社前後